子どもの「発語」。
育ちの中でも変化が分かりやすい「発語」は、お悩みを持つ方も多いかと思います。
言葉の数、発音、言葉遣いなど、子どもによってお悩みも様々です。
言葉の認識や口の動かし方など、「発語」のための技術も必要ですが、その前に大切にして欲しいことがあります。
「発語」について、今まで幼稚園、療育施設、訪問支援でたくさんの子どもたちに出会った経験から、大切にしていきたいことについてお話をします。
「発語」はなぜ必要ですか?
言葉は、どんな時に使いますか?
忘れてはいけないことが、「コミュニケーション」ということです。
他のどんな行動もそうですが、「その行動をする必要性」がなければ、その行動は起きません。
「発語」も同じように、「発語をする必要性」を感じなければ、「発語」は生まれません。
つまり、子どもたちの「伝えたい」という気持ちが大切です。
言葉の育ちを考える時に、置き去りになってしまいそうになるのが、その“気持ち“です。
例えば、この2つの言葉で「伝えたい気持ち」がある言葉はどちらですか?
- 「今、“りんご“って言うよ」と指示され、「りんご」と発した言葉
- 目の前のりんごが欲しくて、「りんご」と発した言葉
同じ「りんご」という言葉でも、違う意味合いを持ちます。
上は「こう言うよ」と指示されて発した言葉で、下は「自分の気持ちから出た言葉」になります。
子どもたちには、どのような言葉を使うようになって欲しいですか?
語彙を獲得するために、指示されて発する練習が必要な場合もあります。
その場合、語彙を獲得した後に、「伝えたい」場面でその言葉を使えるように支援することが大切です。
コミュニケーションの言葉は、指示されて発するのではなく、自分の気持ちをのせるための「言葉」になって欲しいと思います。
「自分の気持ち」を伝える言葉を育てるには
「自分の気持ち」を伝えるコミュニケーションとしての言葉を育てていくには、「伝えたい」という気持ちが必要不可欠です。
「伝える」ということを考えると、友達や他者とのかかわりが頭に浮かぶかもしれませんが、その前にもっと大切なことがあります。
それは、「これしたいな」「これ欲しいな」など、自分の中にある「気持ち」です。
つまり、「自分の好き」があることがとても大切。
「自分の好き」がなければ、そもそも「これしたい」「これ欲しい」の気持ちは生まれません。
「これしたい」があるからお母さんに伝えたり、「これ欲しい」があるから友達に伝えたりのコミュニケーションが生まれます。
子どもたちが「自分の好き」を見つけていくために、周りにいる大人ができることは、たくさんのモノや経験に触れるきっかけ作りです。
「自分の好き」は、自分で選ぶことが大切です。
子どもたちが選択できるような、“きっかけ“を作ってあげましょう。
コミュニケーションの手段は、「発語」だけではありません。
マカトン、手話、タブレット、書字など、様々な手段があります。
たくさんの子どもたちと会話をして思うことは、どんな手段でも良いけれど、大切なのことは、その子自身が「伝えたい」と思っていること。
「発語」を考えていく時は、まずその気持ちを大切にしていきたいと思います。
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